M20 (NGC6514:いて座の三裂星雲)   
(2006.5.31)
兵庫県 日高町 里の会星文化研究所 2006/5/31 24:49   ペンタックス口径10cmF4望遠鏡+S3Pro(露出2分)  自動追尾撮影                  Mr.M

いて座は散光星雲の宝庫だ。
先日UPしたM8やこのM20の他、水に浮かぶ白鳥を思わせるM17、ハッブル望遠鏡が撮影して
「ゴッドハンド(神の手)」で有名になったM16、いずれも明るい部類に入るため、アマチュア天文家
の写真の好対象になっている。
近年は撮影機材の進歩が著しく、明るい光学系でも収差の少ない美しい写真が、誰でも撮影できる
ように なった。
このM20や先日のM8を撮影した望遠鏡は、カメラ用のレンズ風に言えば「400mm F4」という
光学系になる。
10年ほど前の製品だが、いわゆるSDガラス(特殊低分散ガラス)を使っているものの、明るい星の
周りには青いハロが生じている。色収差が補正し切れていないためだということだ。

M20は、その姿から「三裂星雲」と呼ばれている。
明るい星雲の中に暗黒星雲が横たわって、ばらばらに分断しているように見えるからだ。写真では
一目瞭然だが、眼視でその姿を見ようと思えば、口径15cm以上の望遠鏡が必要だ。
「三裂星雲」と呼んだ最初の人は、ジョン・ハーシェルといわれている。
天王星を発見したウィリアム・ハーシェルの息子で、フィルム現像・定着液の「ハイポ」を発見したこ
とでも有名な人だ。

M20は明るいので、双眼鏡でも何とか見ることが出来る。
天の川が良く見える夜に、7倍(見える範囲はおよそ7度)くらいの双眼鏡なら、いて座の天の
川の中心部分に狙いを付けて、くるくると探してみると、すぐにM8が見つかるだろう。
または、天の川中心の左側に「南斗六星」を見つけ、その星星のすぐ右側を探すようにすればいい。
このM20は、写真で分かるようにM8の北1.3度にあるので、M8よりも少し暗いが、注意すれば
存在は分かるだろう。

わたしも、今から40年近く前、親に買ってもらった口径9cmの反射望遠鏡で、はじめてこの星雲を
見たときは、結構感激したものだ。
もちろん、その頃は今とは比べものにならないくらい光害が少なく、星が良く見えたので、口径9cm
とはいえアンドロメダ大星雲などは、その腕が見えていたことがスケッチに残っている。

※先日のM8の話の中で、冒頭に「いて座はさそり座の西側にあり」と書いていたのは「さそり座の
東側」が正解でした。お詫びして訂正します。ごめんなさい。
                                            Mr.M