フクロウの想い出  (2000年5月16日)

危険な箇所をチェックしながら、会社から仕事の要請のあったところを見て廻り、 山中を5〜600m歩いただろうか。ヤニ切れ で煙草に火を付け腰を降ろした。「カチ..カチ..」と音がし、傍に何か居る。すうっと左脇 下に目をやると、真っ白な鳥の雛らしきものが私を見上げて、くちばしを「カチカチ」と鳴らして いるのである。 「餌をねだっているのかなぁ。」そのときはそう思った。すると上の方からもカチカチやっている。 「親鳥か?」しかし姿は見えない。生憎、デジカメを持っていない。「やれやれ...」と 思いながら急な斜面を登る。車にたどり着くと即事務所に向かった。 早速、Yに電話する。Yは雛の目の色を真っ先に訊いてきた。「水色。」と云うと「フクロウ。」と 即答。また直ぐにデジカメを持って現場に引き返す。もうとっくに息は上がっている。 親鳥が雛を保護して、もう居ないかも知れないと思いながら全力で谷を下った。 「居た!!。」さっきと同じ場所で、私を見るなり「カチカチ....」やりだした。あとで 解ったのだが、このカチカチくちばしを鳴らすのは威嚇しているつもりらしい。何とも可愛らしい 「威嚇」である。....で撮った写真がこれである。

※(注意)気の荒い親だと襲って来ますので、大変危険です。 むやみに巣に近付かない様にしましょう。

フクロウの兄弟

(5月16日午後10時半)

てっきり、親鳥に見捨てられたと早とちりし、そのまま雛を持ち帰った。気になってフクロウの HPを...「久則庵」さんのサイトにたどり着き、自分が誘拐犯と気付いた。 カシワをやるとよく食べるし、人懐っこい。しょうがないなぁ。Yと中学生の息子と3人で元に戻しに 山に向かった。するとYが同じ場所でもう一匹発見。                       

                      

フクロウの卵

(2002年5月13日)

2001年も5月になると、様子を伺いにちょくちょく現場に出向くがフクロウは見あたらなかった。 2002年。淡い期待を抱きながら谷を降りる。兎に角急な斜面で「行きはよいよい。帰りは非常にしんどい。」 親鳥がフワッと音もなく舞い上がった。ひょっとするとと思いながら直ぐ下を覗き見る。 「何とまだ卵だ!!。」                                  

                                 

孵化

(2002年5月16日)

何時孵化したのか、少なくともこの4日間のうちである。ピンポン玉を少し細長くした程度の 大きさの卵に少し亀裂が入っている。兄弟の孵化も近そうだ。                                  

                                 

                                 

孵化終了

(2002年5月18日)

2匹目の羽化も終わった。巣?(切り立った岩陰の地べたで、巣らしく細工をした様子は認めら れない)の近くにはシュレーゲルかモリアオの残骸が後ろ足2対。                                  

                                 

                                 

雛のあくび

(2002年5月22日)

それから4日後、2匹とも可成りしっかりしてきた。これを最後にこの巣から雛の姿が消えた。無事に育って呉れたら良いが..?。何せ地べただから。 3人で雛を返した日から、4年余り経つ。 フクロウの雛を抱いた息子の写真を見ると、月日の流れる速さを身にしみて感じる。 来年はまた見れるだろうか、それとも...、もう近付かない方が良いのかも知れない。

(全て 日高町 E950 Mr.F撮影)